前回、ホメオパシーとの出会いについての記事を書いたのですが、そのさらに前に学んでいた中医学について少し触れておきたいと思います。
そもそも、日本では「中医学」という言葉自体に聞き馴染みがない方も多いかと思います。東洋医学とか、漢方という言い方の方がよく聞きますよね。
中医学というのは、古代中国で発祥した、傷寒論(しょうかんろん)という医学書などをベースにした歴史ある医学。つまり「中国伝統医学」のことです。
中医学が日本に伝来した後、日本の気候風土に合わせてカスタマイズされていったものが「漢方医学」。だから「和漢」なんて言ったりもしますね。
そして、西洋に対しての東洋なので、東洋医学というともう少し幅が広くて、韓医学とかアーユルベーダとかも含めて、東洋と呼べる地域全体の医学を総合して呼ぶ言葉です。
さて、私が中医学に出会ってなぜそんなにハマったかと言えば、 人間を丸ごと総合的に立体的に診断できる医学だと思ったからです。
顔色や外見に現れた内臓の変化を読み取る「望診」とか、「脈診」で沢山ある脈の種類から病の深さとか実証か虚証か(症状が、ある機能の強過ぎが原因か、それとも別の機能の弱過ぎが原因かを判断できる)などをみたり、「問診」では今までの本人の体調の変化や家族の病歴から病理全体を推測したり、本人が話す口調などからも色々な事を判断していきます。
また、汗や痰や帯下(女性のおりもの)など分泌物の様子から判断したり、舌の様子からも内臓の診断をしたりします。
これって、まさに人間観察そのものですよね。
役者の仕事と似ている部分も多いなと思います。限られた情報でも、それをヒントに最大限に想像力を発揮して、今身体の中で何が起こっているのかを立体的に推理していく。勿論推測だけではなく、何千年という歴史の中で積み重ねられた経験から得られた、膨大なデータに基づいて判断されていきます。
そして、今の病状が身体のどこをメインの戦場にしているのか、をみていきます。
例えばかぜの引きはじめのように、初期ならばバリアの外側、つまり表皮や胃腸などの表面で戦っているし、
もし外敵にバリアを破られて組織の中まで入って来られてしまっているならば、より重い病気の状態と捉えるべきだし、
更に外敵の力が免疫の力を上回っていた場合には血液の中まで侵されてしまい、臓器や脳にまで被害が及ぶことになってしまう重症の状態、と捉えることになります。
また、臓器の変化は対応する器官に現れるので、例えば腎臓が悪い人は耳の症状として出やすいですし、肝臓だったら目の症状に出やすいですし、胃が悪ければ口に出るので口内炎が出来ますし、、この辺りは皆さんも経験的に思い当たる節もあるのではないでしょうか?
他にも心臓は舌と繋がっていたり、肺は鼻と繋がっています。
この「繋がっている」というのが、つまり経絡(けいらく)=エネルギー(氣)の通り道、で繋がっているわけです。
経絡は全身にそれぞれツボを繋げる道のように張り巡らされています。だから、足の裏なんかのツボを押す事で、遠い位置にあるけれど対応した内臓や器官を活性化する事ができちゃうんですね。
経絡の氣の流れをスムーズにすることがすなわち治療になる、というわけです。
中医学というのは、「かぜだから葛根湯」というような処方は基本的にしません。 (市販薬がその人の状態にぴったり合う場合には使えます)
一口に「かぜ」といっても、初期か中期か、熱はどの程度か、悪寒はあるか、普段から弱っている臓器はないか、などなど色々考慮します。
その患者さんが今どこがどうなってどの機能が弱っているからその臓器を養うには〇〇と××という薬剤が必要だけど、その薬剤だといらない副作用があるから打ち消せる薬剤も配合して、、というように、オーダーメイドで薬剤を配合していきます。
そして、氣の流れがどこで滞ってしまっているかを的確に把握して、氣や血の流れをスムーズにするために、ツボを刺激したり、時には物理的に古い血を動かしたりもするわけです。
そんな、鋭い観察眼と的確な技術や経験値が必要な中医学なので、マニュアル通りにやれば誰でもある程度の結果が出る、というものでもなく、医師個人の技量が治癒率に直結してしまうので、画一的に学校で教えて医師を大量生産する、というのが事実上難しい学問でもあるのですよね。。
その辺りも、現代西洋医学とはちょっと違うところかなと思います。(勿論、西洋医学でも名医かどうかは観察眼が関係しているとは思いますけどね)
この観察眼や技量が必要っていうのは、まさにホメオパシーにも通じるところでもあり、職人肌でカッコいいなと思う部分でもあります。

ところで、私は幼い頃から右脳優先で生きて来た子なので、読書といえば、物語の本よりも図鑑が好きな子でした。(まず目で見て楽しむ笑)
なので、実家にあった「家庭の医学」的な分厚い本を見ては、
「ドクダミとかオオバコとか、こんな近所に生えてる草が薬になるんだすご〜い!」「煎じるってどうやるんだろう、よく分からないけどなんかカッコいい〜!」「按摩って押すだけじゃなくて“さする”とかもあるんだ〜」
なんて、あれこれ知っては感動していました。
ノリとしては忍者とか魔法使いみたいな、そういう神秘的な秘密のワザを扱う、というのに憧れたんだと思います。今考えてもやっぱりカッコいいと思いますけど笑
それが、ここ15年くらいでインターネットがかなり身近になったので、最初は多分そんなノリで興味本位に漢方薬のことなんかを調べて楽しんでいただけなんですが、中医学の深いお話を知れば知るほど、その奥の深さが半端ないことが分かってきて、もっと深く学びたいと思うようになりました。
ちょうどその当時、SARSだとかエボラ出血熱だとかデング熱なんかが流行して問題になった後だったと思うのですが、
中医学の診断技術を持ってすれば、未解明のウイルスだとしても、患者の状態から判断して不足を補ったり過剰を取り去ったり出来るので、未知の病気であっても対応可能な医術である、というのを読んでものすごく感動したのを覚えています。
実際、西洋医学では特効薬が作れず対応がとても困難だったのに、中医学で対応した患者さんは回復したり経過が良かったり、という人も多かったそうです。
そしてもう一つ、とても印象的だったのは、中医学の名医は信仰心も一流である、ということを知った事でした。
「医師というものは、患者のために自分に出来る最善を尽くすべきではあるが、しかし、その結果、最終的に患者が回復するか死に至るかは、神が決めることであって、医師がどうこう出来る領域ではない」
つまり、「人事を尽くして天命を待つ」という精神が必ずセットになっていました。
そもそも、医学というのは神学、つまり信仰と密接に繋がっていて、この世の真理を理解しなければ本当の医術はあり得ない、というのが根本にあるのだということを、私は中医学から教えて貰ったのだと思います。
。。と言っても、当時は半分分かったような分からないような、うすぼんやりとした理解だったのですが、これはホメオパシーを学ぶ中で信仰心についてもかなり理解が深まったので、ここ数年でようやく実感できた、という感じなのですけどね。
でも、今では、間違いなく真理だなぁと思います。

そして、「医食同源」という言葉もある通り、毎日口にするものがダイレクトに健康を左右する、という考え方も、とても大切だなと思います。
皆さんも、機会があれば漢方とか薬膳なんかの本を参考にされると面白いと思います。図書館なんかには必ずカラーの本がいくつかありますし、今どきはネットでもすぐ情報が手に入りますよね。
食べ物にも、体を温めるもの、冷やすものなどの性質がありますし、甘い、辛い、酸っぱい、塩からい、苦い、という五味はそれぞれ臓器と関連していたり、またその臓器が感情と関連していたり、、というのも面白いです。
物思いにふけりやすいグルグル思考の人は胃が弱っているので甘い味で癒される、とか、恐れが強くすぐ驚く人は腎臓に負荷がかかっていて塩味を欲する、など。。
自分の体調のバロメーターとしてもとても参考になると思います。
この他にも、「臓器時間」というのがあって、各臓器それぞれに、毎日決まった時間が割り振られて「1時から3時は肝臓の時間」という風に、その時間に集中して調整が入るそうで、臓器の為に投与する薬剤はその臓器時間に最も効いてくれるように投与するタイミングを調整する、なんていう手法も使われるそうです。
これも引力・重力とか、太陽の上昇のエネルギー、下降のエネルギーなんかともきっと関係していて必然的にその時間が決まっているのだろうなぁと思います。
ちなみに肝臓は氣を上昇させる働きがありますし、腎臓は氣を下降させる働きがあります。両者のバランスも大切ですね。
喘息でも、腎臓が弱いタイプだと「息が吸えない」ですし、肺が弱いタイプだと「息が吐けない」という事が起こります。
色々うんちくを語りましたが、語りだすと本当にキリが無いですね!笑
それくらい奥深い、面白い学問です。
とりあえず、「なんかちょっと難しいけど面白そうだなぁ」なんて思っていただければ幸いです。
また折に触れて中医学の面白さをお伝えしていきたいと思います。



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